今年の住友研究室の合宿は前橋と福島の2カ所で行われました。
8月7-9日が前橋、12-14日は福島で行われました。
舞台は前橋・赤城山。3日間の滞在は、赤城山古民家IRORI場にお世話になりました。
1日目
初日は上村洋一さんによる、サウンドレコーディングのレクチャー。サウンドアーティストと作品を紹介しながらのケーススタディです。音という形では見えない、抽象的な世界はどう表現され、どのような可能性があるのかを学びます。本レクチャーをふまえて、2日目に実際にサウンドレコーディング行います。
夕食は焼きトウモロコシをいただきました。
2日目
早朝から上村洋一さんと赤城山にフィールドレコーディングへ行きました。
上村さんが準備して下さった高音質レコーダーで音を収集します。水の音、森の音、虫の音、普段は気にすることのない、無意識のなかにあった音の世界に耳を傾けます。
早朝集合でしたが、皆頑張って起きました(笑)。
ヘッドフォンがよくお似合いの住友先生。
昼食前に天気が良かったので、赤城山へ登山もしました!
赤城山の頂上で集合写真。
宿へ戻り、午後は白川昌生さんのレクチャーです。
白川さんが7月に出版された本をもとに、考えていることを共有し話し合いました。芸術は軸にありながらも、話題は私たちの精神や記憶、歴史、そして神話にまで広がります。様々な領域を横断しながら生まれる芸術について考える時間となりました。
最後の夕食はみんなでバーベキューです。食後に花火もしました!
3日目
最終日は蓮沼執太さんのレクチャーです。
蓮沼さんは、音楽とういうジャンルだけにとどまらず、アートや舞台など様々な活動をされています。今年の夏は蓮沼フィルでフジロック出演もされています。レクチャーでは「主体と客体の住環運動」をテーマにお話いただきました。「音」に対する様々な考え方についてお話いただきました。
モスクワ出身のエレナ・トゥタッチコワさんとスカイプで通話。川のサウンドにまつわるリサーチを行なっているそうです。
レクチャー後は、蓮沼さんと大沼でワークショップを行いました。「環境の音を自分の身体を通して言語化させて、紙にドローイングする(聞こえないものを表す実践)」と題し、大沼の辺りで落ちている自然物を用いて、身体の感覚を言葉や線や色で表現するという新鮮な体験でした。
最後は全員で講評会を行いました。皆がそれぞれ感じている音、感覚が異なっていて、興味深かったです。
青空の下で集合写真。
蓮沼さんのレクチャーのあとは、東京へ戻りました。
テクノロジーが進化した今、音を作ったり、聴くことは非常に手軽で、例えば日常生活で音楽を聴かない日は無いくらいです。しかし、本合宿で行った森の音や水の音、土の音を聴く体験を通して、私達の周りには豊かな音で溢れているにもかかわらず、それを意識せずに普段生活しているということを実感しました。目には見えないからこそ、様々な表現の可能性があると思えました。
前橋合宿は大自然のなかで「音」と「アート」について真剣に向き合う3日間となりました。
written by 田中直子