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あなたの存在に対する形容詞


長野魁斗


展覧会名:あなたの存在に対する形容詞」

会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 会期:2018年4月25日 〜 7月22日

ミルチャ・カントル Mircea Cantor展  今回の展示は、ルーマニア出身の作家、ミッチェル・カントルの個展であり、会場には一つの映像作品を含む、四点の作品が紹介された。  その中でも、展示会のタイトルと同じ名前をもつ、「あなたの存在に対する形容詞」(写真1枚目)と、それを用いた映像作品は、カントルが国際的評価を獲得する契機になった「The landscape is changing」(2003 年、写真2枚目)の連作的な位置付けにある。政治的なスローガンなど、主張を行う道具としてのプラカードが、無言の状態*で提示される点で、両者は共通する。  作品内において、場所の移り変わりはもちろん、時間の推移もあって、アクリル製のプラカードは一つとして、同じ表情を見せない。その一方で、プラカードの形が画一的な点や、表情の変化が連鎖するための、画面上において奇妙な一体感を作り出している。こうした様子からは、主張しないことが主張であり、自由の中で互いを監視し合う、現代社会の様子が代弁されている。  旧来の制約から自由になり、様々な情報が際限なく交錯する中で、それぞれ内容を客観的に吟味することは難しい。また、伝達される内容は、受け取る側とそれを取り巻く環境に強く依存する。  カントルの作品は、社会の佇む見えざる『枠』を可視化させ、同時に現状と批判的に対峙するための機会を、我々に与えてくれる。

*《The landscape is changing》で制作されたプラカードは、鏡の様に周囲を反射するものである。:http://pietmondriaan.com/2012/06/26/mircea-cantor-4/



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