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Pasonsin Phommavong

インタビュイー:  パソムシン・ポンマポン (Pasomsin Phommavong)

インタビュアー: 権祥海

日時:2018年12月11日

場所:ラオスビエンチャンFanglao Dance Company

 パソムシン・ポンマポン(1994-)は、ラオスの中南部都市Thakhek出身のパフォーマーだ。主にFanglao Dance Companyを中心にダンス活動を行う。B-boyダンサーとしてタイ、ベトナムでのコンペティションに参加する傍ら、ダンスフェスティバル「Fang Mae Kong」でのコンテンポラリー・ダンス作品にも多数出演。近年は演劇的要素を取り入れたダンス作品や美術館の中でのパフォーマンス・アートにまで領域を広げている。

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劇場の前で踊るPasomsin

photo by 庄子渉

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Fanglao Dance Company外観

(K=権祥海, P=パソムシン・ポンマポン)

K:早速ですが、この劇場でのお仕事についてお聞きしたいと思います。

P:まずこの劇場について話しますと、ここではパフォーマンスやダンスを教えています。私はここでダンスを教えたり、スタッフとして働いたり、パフォーマンスの公演を行なっています。

K:この劇場と一緒に仕事をするようになったきっかけは何でしたか?いつからここで働くことになりましたか?

P:最初はビエンチャンでのダンスのイベントに参加した時、現在の劇場のメンバーと知り合ったことがきっかけでした。その時、「あなたはダンスが上手だからここでダンスを教えてみませんか?」と言われました。劇場のディレクターたち(Kaka、Ole、Nout)は、「私たちがサポートするから、もし何かイベントがあったら参加してください。」と言いながら励ましてくれました。それから3年も経ちました。

K:あなたの場合、この劇場の先輩たちに支えられたんですね?

P:はい。そうです。

K:ここのディレクターたちはおいくつですか?

P:30歳ぐらいですね。

K:この劇場はあなたがディレクターたちと知り合う前からあったんですか?

P:知り合った後にできました。彼らは、その以前は「Kham」という他のダンス活動をやっていました。

K:大学に入る前まではビエンチャンではない街で住んでいたとお聞きしましたが、地元でもダンスをやっていましたか?

P:地元でもダンスをやっていました。

K:つまりビエンチャンで大学に通い始めた時に、今のディレクターたちと知り合って、その後、劇場ができたということですね?

P:そうですね。

K:ここで講師として教えるのはお給料がありますか?

P:はい。あります。

K:この劇場の運営は学生たちの受講料によって回っているということですね?

P:はい。そうです。

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Fanglao Blackbox Performing Art Program – BROTHERに出演するPasomsin

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劇場のメンバーたち(左下、Pasomsin 右上、ディレクターのKaka)

photo by 権祥海

K:次の質問に移りますと、B-boyの活動だけではなく、先お話されたようにコンテンポラリー・ダンスもされていますよね?2015年頃から「Fang Mae Kong」というダンスフェスティバルでコンテンポラリー・ダンスやパフォーマンスをされてきたと思いますが、それを始めたきっかけをお聞きしたいと思います。

P:最初はコンテンポラリー・ダンスがあまり好きではありませんでした。Oleのプロジェクトに誘われ、参加した時から好きになりました。その時はフランスのパリにも行きました。

K:この劇場は、フランスや日本からのダンサーがたくさん来たり、海外との交流が活発に行われていると思いますが、そういった交流を進めているのは誰ですか?

P:ここのディレクターのOleです。ディレクターは3人ですが、主にOleがアドバイザー役として勤めています。

K:以前あなたが出演されたフェースブックの映像を見たことがあります。(一人の人物がトイレに行くと紙幣が出てくる現象に逢い、お金を得るために倒れるまでトイレに行き続けるという内容の映像。)演劇的な手法を用いてながら、メッセージを与えるような映像だと思いましたが、これを作るようになった経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか。

P:Kakaの友達のある映画ディレクターに誘われました。全部で三つの映像を撮りました。

K:それはどういう意図から作られたんですか?

P:努力をしないでお金を稼ごうとすることについての批判的なメッセージを伝えるために作りました。

K:以前の作品で、ダンスだけではなく演劇的なパフォーマンスを行なっていたと思いますが、そういった演劇的要素を取り入れたダンスを重視していますよね?

P:はい、演劇的な要素は一番重要に思っていることです。

K:最初はB-boyダンスを始め、それからコンテンポラリー・ダンスとパフォーマンスに興味がだんだん広がっていったんですね?

P:はい、そうです。全てが繋がっていると思います。B-boyダンスもコンテンポラリー・ダンスも。

K:次は、ラオスのダンスという枠組みでの今の活動についてお聞きしたいと思います。ラオスのダンスの中にはヒップ・ホップやK-POPなどのポップカルチャーも強い影響を持っていると思いますが、その中でこの劇場が行なっている活動はどういう位置を持っていると思いますか?

P:ここは様々な興味を持っている人々が集まるところです。ここではB-boyダンス、ヒップ・ホップ、K-POPダンス、コンテンポラリー・ダンスなど様々なジャンルのダンスを教えています。

K:ビエンチャンにこの劇場以外にダンスを教えたり、ダンスのコンペを行う劇場はありますか?

P:他に2箇所ぐらいあります。

K:ラオスでコンテンポラリー・ダンスやパフォーマンスを行う時に、観客の反応はどうですか?K-POPのカバーダンスやB-boyダンスなどに比べたらどうですか?

P:観客はほとんど外国人です。海外からはこの劇場がラオスでは珍しくコンテンポラリー・ダンスをやっていることに対して肯定的に評価しています。

K:あなたのご意見としては、ラオスの観客と外国人の観客どちらに向けて発信するべきだと思いますか?

P:外国人の方です。

K:それはなぜですか?

P:コンテンポラリー・ダンスは、ラオス人にとってはまだ理解できないと思われる場合が多いですが、外国人には理解してもらえるからです。

K:でもこの劇場では、コンテンポラリー・ダンスだけに集中しているよりはB-boyダンスやヒップ・ホップなどの一般大衆が学びたいダンスも教えていると思いますが。

P:はい。ここでは受講生のニーズに合わせてそれぞれが学びたいダンスを色々教えています。ただ、何が外国人に人気があるとかは教えていません。

K:なるほど。ラオス人の中であなたのようにもっと自分なりの表現がしたいと思うダンサーはどのぐらいいますか?

P:この劇場に所属している人を含め10人ぐらいいます。

K:ダンサーが少ない理由は何ですか?

P:まずラオス人たちがダンスやパフォーマンスイベントにあまり興味を持っていないからです。ダンサーたちはろくに給料をもらっていないため、途中に止める人が多いですね。その中には、金銭的な問題以外にも家族の問題で止める場合もあります。

K:最近ラオス人キュレーターのミスーダ(Misouda Heaungsoukkhoun)がギャラリーでパフォーマンスを企画したことを見ました。この劇場では美術の展示場所でパフォーマンスを行なったりもしますか?

P:美術館でもやっていますし、ドイツの大使館でもパフォーマンスを行なったことがあります。タイからもパフォーマンスの提案がありました。結局行けなかったのですが。

K:当時の映像は残っていますか?

P:残っていないです。観客たちを驚かす内容のパフォーマンスでしたのでカメラは使わなかったです。もしカメラがあったら観客が分かってしまうじゃないですか。11月の「Fang Mae Kong」フェスティバルでも行いました。

K:「Fang Mae Kong」フェスティバルには3年前ごろから参加されていますよね?

P:たぶんそうですね。

K:この劇場には映像の撮影スタッフがいますか?

P:います。最近はフェイスブックのページも作りました。

K:はい。私もそのページで色んなイベント情報を見ました。

K:最後の質問に移ります。これから学部を卒業されるとおっしゃいましたよね?これからはどういう活動をされる予定ですか?

P:まずはダンスをやり続けたいです。色んな試合に参加したいです。また私がやりたいことが見つかったらやって行こうと思います。しばらくはこの劇場でダンスをやるつもりです。

K:私がラオスに来て感じた印象としては、30代のアーティストは何人かいますが、大学を卒業したばかりの20代半ばから20代後半のアーティストが非常に少ないということでした。あなたはその間の世代としてこれからどういう役割を果たすつもりですか?

P:以前は社会センターでダンスを教えたり、年寄の方のパーティーでダンスを行なったりもしました。先週行われた「Fang Mae Kong」フェスティバルの場合、ダンスに興味を持っている人々向けになります。このフェスティバルではダンスのコミュニティを広げるためにイベントを行なっています。現在ラオス人のダンサーはだんだん減っています。これからはラオスのダンスコミュニティを広げるために頑張っていくつもりです。

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