Nirankoon Singpraseuth
インタビュイー: ニッランクーン・シンプラセウス
(Nirankoon Singpraseuth)
インタビュアー: Yishu HANG、権祥海、檜山真有
日時:2018年5月23日
場所:NIFA(ラオス国立美術大学), ビエンチャン
書き起こし:権祥海
ニッランクーン・シンプラセウス(1988-)は、ビエンチャン出身のCGクリエーター(アニメーション、映画)だ。
ラオス国立美術大学で講師としてCG技術(3Dモデリングなど)を用いたアニメーションを教える傍ら、クリエーターとしてもアニメーションや映画制作を行っている。

作り途中の自作のゾンビ映画を見せるニッランクーン
photo by 権祥海
(H=Yishu HANG, K=権祥海, N=Nirankoon Singpraseuth)
H: まずは簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
N: 私の名前はニッランクーンです。私はラオス国立大学でコンピューター・サイエンスを専攻しました。卒業してから同大学で8年間コンピュータープログラミングとエンジニアリングを教えています。私はアニメーションにも興味を持っています。インターネット上の動画やいくつかのワークショップを通して学びました。私はアニメーションがとても好きなので、自分で短編映画を作ったりもしています。
H: どういう映画が好きですか?アニメーションですか?それとも実写映画ですか?
N: 両方です。
H: あなたが一番好きな映画を教えてもらえますか?
N: 私が一番好きな映画は宇宙を背景としたSF映画です。
H: スター・ウォーズのような?
N: はい。スター・ウォーズやトランスフォーマー、ハリー・ポッターのような映画ですね。
H: これらの映画は全部CG技術に関連していますが、あなたはCGアニメーションに詳しいですか?それともただこういった映画が好きだとか?
N: 私が子供だった時に、自分は何が好きでこれから何をすればいいか分からなかったです。ある日、宇宙を見てそこに何かあると思いました。ディスカバリーチャンネルで宇宙を見たんですね。その時、パソコンの中から宇宙を旅することができると思いました。私はCGプログラミングとアフター・エフェクトを使っていますが、そういった技術を用いれば何も作れるということですね。
H: 何歳ごろにそういった考えを持ちましたか?
N: 高校生の時です。その時は、イメージを混ぜることを学んだばかりでした。
H: あなたがコンピューター・サイエンスを専攻として選んだのは、そういった興味があったからですね?
N: 違います。なぜなら私の母がコンピューター・サイエンス専攻を選んで欲しかったからです。私はコンピューターが好きでしたのでコンピューター・サイエンスを選びました。
H: 数多い親たちはたくさんの給料をもらえるから子供たちにコンピューター・サイエンスを選んで欲しいですね。
N: でも私はそれでいいと思います。この分野が好きだから。
H: それはよかったです。現在おいくつですか?
N: 30歳です。
H: とてもいいと思います。私の友達の中には自分が好きではないことを親に強要される場合が多いからです。あなたにとってはとてもいいことですね。

自作映画をGAの学生に見せるニッランクーン(一番左から2番目)
H: あなたはなぜこの大学で仕事をしていますか?自分でもアニメーションを作っていますよね?
N: なぜなら私が技術を持っているし、他の人たちに教えられるからです。ラオスにはアニメーションを教える教育機関がいないです。私が幼かった時代には、誰からも学べなかったです。本を調べながら勉強しました。
H: あなた一人で勉強されたんですね?
N: そしてテレビ局でバイトをした時、そこから学んだりもしました。
H: ここでは何を教えていますか?
N: 3D MaxとCGアニメーションを教えています。
H: 先程VRゴーグルを用いて授業されるのを見ましたが、そういった授業はいつから始めましたか?
N: ただ3D Maxで作ったものをVRで体験させて見たかっただけで、2、3週間前から行っています。
H: こういう授業を以前にもされたことがありますか?
N: はい。あります。
H: つまり3D Maxの授業が何週間前から始まったということですか?
N: 何ヶ月間前からです。
H: 3D Maxは独学で学んだんですか?それとも大学で学んだんですか?
N: 独学で勉強しました。
H: とても興味深いですね。あなたが作られたショート・フィルムがあれば見せてもらえますか?
N: 私が作ったショート・フィルムをお見せします。これはコンペに出すために作ったものです。私の大学で撮影したものです。
(ニッランクーンがiPadで映像を流す)
H: これは全部あなたが作られたものですか?
N: そうです。
K: この映像はいつ作りましたか?
N: 2014年です。
K: この映像を作るために予算はどのぐらいかかりましたか?
N: 500ドルぐらいですね。
K: コンペの結果はどうでしたか?
N: 二等賞をもらいました。
M: ゲームは好きですか?
N: はい。カウンター・ストライクやレッド・アラートのようなすミュレーションゲームが好きです。
H: 子供の時からゲームが好きでしたか?
N: 子供の時からよくゲームをやっていました。
H: いつからパソコンを持っていたんですか?
N: 13歳からです。私はお母さんのオフィスに遊びに行ったことを覚えています。その時、オフィスにあったパソコンを色々弄ったら、パソコンのWindows OSがアンインストールされました。その時は何が起きたのか全く知らなかったです。パソコンの中には探検できるものが物凄く多いですね。カードゲームをやった時、システムファイルを削除したら映像が出てこなかったこともあります。
H: お母さんはどういうお仕事をされていますか?
N: 社会開発関連のNGOで働いています。
H: お父さんの職業は何ですか?
N: 時計を修理するお店を経営しています。
H: あなたは兄弟はいますか?
N: 弟が一人います。
K: 彼はどういうお仕事をされていますか?
N: 会計士として働いています。
H: 他のビデオ作品があれば見せてもらえますか?
N: これは私が作った映像を集めてものです。1分程度の短い映像です。
(ニッランクーンがiPadで映像を流す)
N: これはまだ公開されてないものですが、これからのプロジェクトの一つです。
(ニッランクーンが制作中のゾンビ映画を見せる)
M: あなたがCGを作ったんですか?
N: はい。自分でモデリング作業を行いました。
K: 一緒に作業するチームはありますか?
N: はい、彼女(NIFA学生の一人)もそうです。彼女はゾンビ映画が好きです。
K: これの制作のための予算はありますか?
N: はい、スポンサーがいます。
H: どこかの会社からですか?
N: そうです。今はデモビデオを作って会社から助成金をもらうことを目指しています。

K: ビエンチャンには映画館が何箇所ぐらいありますか?
N: 一つしかありません。
H: 海外映画の場合、ラオス語に訳されたりもしますか?
N: 大体タイ語でダビングされたものです。
K: あなたは海外に留学行った経験がありますか?
N: 韓国のソウルでトレーニングとワークショップを受けたことがあります。1ヶ月間でした。
K: そのプログラムはどうでした?
N: そこには海外からの数々の先生たちが来られて色んなことを学ぶことができました。
K: いつ行きましたか?
N: 2013年からです。毎年教員一人と学生一人で行っています。
K: それは交換プログラムですか?
N: そうです。
韓国でのワークショップの時の記念写真
H: 先SFジャンルが好きだとおっしゃいましたがSF小説も好きですか?
N: 好きなものはたくさんありますね。ハリーポッターも好きでした。
K: 最後の質問ですが、将来には何がしたいですか?
N: 私は映画と教育、テクノロジーを融合させたいと思います。世界はとても早く変化しています。人々は学校で学ぶことはないと思います。インターネットでも学位が取れますしね。ラオスでは、数少ない人だけが映画を作っています。私は大学を人々が何かを作れる場所にしたいです。ラオスは小さい国で映画学校もないですが、私たちは世界の漫画やアニメーションを見ることができます。それが私がこの仕事を始めた理由でもあります。
K: あなた自身の会社やアカデミーを設立する計画はありますか?
N: はい。近いうちに作りたいと思います。