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Mick Saylom

インタビュイー:  ミック・サイローム (Mick Saylom)

インタビュアー: 宮川緑

日時:2018年12月10日 10:00~11:30

場所:インタビュイーの自宅内アトリエ(ビエンチャン郊外)

 1977年生まれ。ビエンチャン出身で、幼い頃に父を亡くし、母と義父の元で育った*。美術大学への進学を両親は当初快く思わなかったそうだが、自分の意思を貫いた。妻にもアーティストで食べていけるのかと心配されたが、今は作家活動を応援してくれている。現在もNIFAで絵画科学部長として教鞭をとりながら、国内外で展示をおこなう。

*インタビュー後に作家から送られたCVより。

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ミックの自宅アトリエにて

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 インタビュー時、ミック・サイロームは、腹部の手術をして自宅療養中のところを迎えてくれた。彼の体調が気になり、インタビューのアポイントがとれるか直前まで不明だったため、通訳をつけることができなかったが、自宅で保管している作品を多く見る機会に恵まれた。ミックは、ビエンチャン郊外の高級住宅街の一角に、妻と息子2人の4人家族で暮らしている。通りからは目立たない、奥まった埃っぽい土道を番犬に吠えられながら進むと見える、白い二階建ての一軒家が彼の自宅だ。庭先には本人を模した巨大な彫刻や点滴をモチーフに作ったインスタレーションが置かれていた。以下は、ミックについてインタビューで聞いたことを整理したものである。

ミックの自宅2階。作品保存している部屋にて

-作品について

 絵画をメインに、インスタレーション・彫刻・レリーフなど幅広いメディアを扱う。普段は自宅兼アトリエで個展を開いている。玄関から入るとすぐ応接室のような部屋が二つある。1階には伝統モチーフ(ラオスの牧歌的風景・シンを身にまとい舞を踊る女性たち、など)を扱う絵画(油彩、水彩)が飾られ、2階に上がると別の作風の絵画が重ねて置かれていた。メインの制作部屋の他に作品を保管する部屋が複数あり、油絵の具の匂いが充満する各部屋に案内された。

 道路に置かれる赤白ストライプの三角コーンが複数の作品で用いられている。これは社会規制を示すという。このような作品は国内での展示が難しく、作品の意図や描かれている具体的な批判の対象は何かを尋ねたが、Mickは詳しく語ることはできないと言った。最近は2番目の息子も絵を描くのが好きで、時々一緒に制作している。若い頃は、ボロックに憧れタバコを吸い酔った状態で制作していたらしい。

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三角コーンが描かれた作品がまとめて置かれていた

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-大学での指導・海外での出品など

学生を自宅に招き作品を見せることもあるが、彼らは作品を理解していないし興味もないと語っていた。仕事部屋の本棚にはこれまで参加した展覧会カタログが乱雑に積み重ねられていた。机の上にはスケッチブックが何冊も置かれ、そこでアイデアを練っているようだった。海外からは時々研究者やキュレーターの訪問があるという。

背後に映る針金を使った作品は、来年タイの展覧会に出品されるそうだ

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